髪が抜け、しゃべれなくなり
天井がグルグル回って引きこもり
第一人者扱いされる違和感に
『そうじゃない』とジタバタ抵抗
そんな私が透かし折り紙を
続ける本当の理由
たった1枚の折り紙から
自分に戻れる
夢中のひとときを届けたい
そのひとことに気づくまでの
7年もの迷走の旅は
ある日の気まぐれな
散歩から始まりました・・・

前回の続きです。
さて、思いつきで「日本製の透かし折り紙を作ってもらいたい!」は叶うのでしょうか・・・?

「やってみましょう」
そこで、折り紙メーカーさんにメールを送ってみました。
言うだけタダだし、門前払いだったとしてもそれはそれで。やるだけやってみよう。
メールの送信先は昭和12年創業の老舗折り紙メーカー、株式会社クラサワさん。
すると、クラサワさんから「やってみましょう」とのお返事が。
驚いた!
クラサワさんが聞く耳を持ってくださったおかげで、日本初の透かし折り紙誕生ストーリーが始まったのです。
2016年の初めごろだったでしょうか。
商品部の社員さんと1年ほどメールのやりとりが続きました。忙しい業務の合間を縫って、丁寧に素人の私の話を聞いてくれて。
その後、横浜でリアルでの打ち合わせ。
具体的な色選びや商品に封入するミニ冊子用の作品選びが始まったのです。
「本当に商品ができちゃうんだあ」
みんなと私のアイデアがクラサワさんを通してカタチになって世に出ていく・・・不思議な感覚でした。

日本製透かし折り紙
『ひかりとり紙』誕生
商品名は「ひかりとり紙」に決定。私が提案した名前をクラサワさんが気に入ってくれたのです。
2017年秋ごろのリリースで準備が進みます。
みんなに早く言いたいのだけど、まだオフレコ。早くみんなを喜ばせたい。ソワソワしながら発売を待つ日々でした。
そして、9月。
待望の日本製透かし折り紙「ひかりとり紙」のスターターセットがクラサワさんよりより発売されました。
『暮らしを彩るひかりとり紙(中村香代監修)』として店頭に並んだのです。
翌月10月にもひかりとり紙の新商品をリリース。
クラサワさんの「ひかりとり紙」すべてのラインナップにコラボし、「夢中のひととき」を無意識にカタチにしていきました。
待ってくれていた読者さんたちは大喜び。
普通の折り紙以外は『特殊折り紙』という扱いになるそうです。
特殊折り紙は流通量が多くないため、製造後在庫がはけるのに数年かかります。
ところが、ひかりとり紙は異例の早さで第1刷が完売。
日本初の透かし折り紙「ひかりとり紙」はこんなできごとによって誕生したのでした。

おなじころ
ひとつめの転機が
訪れます
「ひかりとり紙」の製作に励んでいたころ、私はFacebookで読者さんにアンケートをお願いしました。
どんな風に遊んでいるのか、もっと楽しむには何があればいいのかを知りたくて。
98人の方が回答してくれました。
その中に衝撃的な事実が・・・
なんと、私のブログを子ども用の遊びとして閲覧していなかったのです。
半数以上の人が自分のために折っている!私はすっかり子どもの遊びだと思い込んでいたから。
「今までずっと趣味らしい趣味がなかった私が夢中になれるものに出会えました」
「光に透かしていると、明日もいいことありそうだと思えます」
「出来上がると達成感があって、ウキウキして元気が出ます」
「わたしのワクワクを引き出してくれてありがとう」
「やさしい光を見ているとあたたかな気持ちになれます」
このとき、知ったのです。
私が届けていたのは、折り方の情報ではなく、夢中になれる楽しさと美しいものにうっとりできる時間なのだと。

Uttorigami
=うっとり+おりがみ
その後も読者からのメッセージはどんどん届きました。
「家族が寝静まったあと、夜な夜なひとりで夢中で折っています」
「仕事で嫌なことがあっても、折っていると忘れられます」
「家事と介護に追われていますが、自分の感情をぶつけて折っていると、リセットできます」
ときめき、ひらめき、きらめきは幸せのもと。
思い通りにならない毎日だけど、夢中で折っているとモヤモヤがリセットできる。美しいものを見ているとうっとりできて、笑顔の明日を迎えられる。
透かし折り紙は折っても眺めていても癒やされるクラフトなのだと思うようになりました。
そして、ブログ名を「うっとりがみ」と命名しました。

すべてに
「夢中」を投入
これをきっかけに、2017年6月からメルマガスタート。
明日も笑顔でいたい女性たちにできる「夢中のお届け」だと思ったから。
1か月で100人の読者さんとつながれました。
すると、今まで以上に質問やリクエストが届くように。
喜びやお悩みを共有してくれる読者さんもいました。
作品画像とともに「職場のみんなが癒やされると喜んでくれました」と報告してくれる人。
折りながら子育てのモヤモヤと向き合っていることを打ちあけてくれる人。
この頃から特に「夢中のひととき」をさらに意識した作品を作り出すようになりました。
世の中の折り紙は難解な作品が流行中。
そんな中、私は超逆行。
ストレスを減らすために谷折りだけで完成する作品を生み出すようになりました。
「難しくてイライラする」「できなくてがっかりする」という気持ちは「夢中のひととき」にはふさわしくないからです。

折り図冊子の
自費制作を決意
続いて、待ち望まれていた「印刷された手にとれる冊子」の制作を決めました。
PDFダウンロードの折り図より冊子の方が夢中度を上げられると思ったからです。
冊子に触れていること、眺めてニヤニヤすること、持ち歩いて連れて行くこと、冊子には紙好きさんのための楽しさがいっぱいあったのです。
決意したのはいいですが、どうやって作ればいいのか、お金はいくらかかるのか、誰に協力してもらえばいいのか、作っても売れるのかどうか分かりませんでした。
でも、2018年の年始のメルマガで当時300人のメルマガ読者さんに「折り図を季節4冊作ってお届けします」と約束しました。
今思うと、よくまあそんなことを言い切れたと思います(笑)
あのときは、「絶対できる」としか考えていませんでした。
自費を投じてデザイナーさんを探し、分かりやすい図と説明を研究し、美しく楽しいデザインの冊子化をスタートさせました。
掲載する作品は簡単で夢中になれて、見た目も美しい季節作品を40作創出。1冊目を2018年10月に刊行。以降1年かけて、計4冊を送り出すことに成功!
何の経験もない私には地道で孤独すぎる作業でしたが…
ときどき、「なんで、こんな面倒くさいことやってるの?」と思ったこともありました。
仲のよいメルマガ読者さん数人が図の点検などに手を貸してくれたのがありがたかったです。
オリジナル作品を寄稿してくれた読者さんもいました。
でも、実は製作は簡単に進みませんでした。
人生初でマジダウン。
次回へ続く・・・