髪が抜け、しゃべれなくなり
天井がグルグル回って引きこもり
第一人者扱いされる違和感に
『そうじゃない』とジタバタ抵抗
そんな私が透かし折り紙を
続ける本当の理由
たった1枚の折り紙から
自分に戻れる
夢中のひとときを届けたい
そのひとことに気づくまでの
7年もの迷走の旅は
ある日の気まぐれな
散歩から始まりました・・・

前回の続きです。
冊子の自費製作を始めるも、ちっとも思ったとおりに進みません。
人生初のマジダウンが始まります・・・

思ったとおりに
身体が動かない…
とはいうものの、折り図の制作は思った通りに進みませんでした。
掲載作品を考えはじめた頃、体調を崩したのです。
1年半ほど近く外へ出られなくなりました。
自律神経失調症とでもいうのでしょうか。
体育会系の私には考えられない人生初のピンチに遭遇。家事と身の回りのことをやるだけで精一杯という状況が続きました。
朝は支度が進まず、お茶から出る湯気を1時間くらいボーッと眺めていました。
道端で友人に会って5分立ち話をしたら、ぐったり疲れて2時間昼寝。
神経を落ち着かせるための癒やし系音楽を聴くと耳に障ってイラっとする。
相手の話していることを頭の中でまとめることができなくなり、まともに返事ができない。
髪が束で抜ける。
とつぜん目まいで天井がグルグル回る。
身体の左半分がしびれる。
42.195キロのマラソンを完走できるほどの体力と根性がありましたが、200m走ると息切れして足が止まるほど体力が落ち込みました。
今までそれなりに何でもこなしてきた私は初めて「無力感」というものを知りました。
それに対して、「悲しい」「辛い」という感情は不思議とありませんでした。
無感情に近く、自分がそこにいない感じというか。
感情を持つことすら気力がなかったのかもしれません。
他人事のような感覚でした。

でも、やめなかった
みんなが
待っていたから
それでも、折り図制作は黙々と続けました。
そして、読者さんとのつながりを絶やさないよう、メルマガだけはどうにか書き続けました。
「皆が待っている」
当時の私には前に進む理由がそれしかなかったのかもしれません。
体調は良くなったり悪くなったりしながら、4冊が完了するころにはすっかり元気に。
いつの間にか解消しました。
「夢中のひととき」を待つ読者さんたちの気持ちが絶不調の私の支えとなってくれたのです。
そんな苦い思い出つきの4冊の冊子を届けると・・・
「すべての作品を子どもたちと制覇しないと気が済みませんので、4冊全部コレクションします!」
「娘の誕生花をたくさん折って、高校入学をお祝いすることができました」
「職場に飾ったら、スタッフもお客さんも癒やされたと喜んでくれました」
「母が大好きなお花をたくさん折って、施設のお部屋に飾ってきました」
「保育園のママさんたちと協力して卒園式の制作に取り組みました。お花の光でいっぱいで子どもたちを送り出すことができました」
という喜びの声がたくさん届きました。
やりきってよかった!
みんなの気持ちが絶不調の1年半を吹き飛ばしてくれました。

注目されるたびに
大きくなる違和感
ブログを始めた5年後の2019年ごろから、メディアで取り上げられるようになりました。
東京新聞、日経MJ、フジサンケイアイ、読売KODOMO新聞、婦人画報に掲載され、ラジオ番組にも2回出演。
表向きはキラキラ女子に見えたかもしれません。
でも、心の中では「私の役割は何?」という疑問がどんどん大きくなるばかり。
取材のたび、アーティストや第一人者扱いされます。
大手カルチャーセンターでのお仕事などでは「先生」と呼ばれます。
ビジネス講座の先生や仲間たちからは
「協会にして資格講座を作れば儲かるよ」
「料理研究家のようにライフスタイルも一緒に売り出せばいいのに」
と言われることもありました。
周りから「すごいね」と言われるたび私の心には「?」が浮かぶのです。
活躍や作品を褒めてもらうのは確かに嬉しい。
でも、それが目的じゃない。
有名作家になること、資格発行して儲けること、注目を浴びてライフスタイルをさらけ出して売ること・・・
私にはどれひとつ興味がありませんでした。

あと1年でやめる
覚悟を決めた
私の心は晴れないまま…
それに反して、透かし折り紙のつながりはどんどん広がっていく。
2019年の終わりにメルマガ読者は1200人を超えました。
今まで求められたものを作り出してきた。でも、なぜやり続けているのか分からない。どこへ向かえばよいのか分からない。
ときどき、すべてを放り出したくなりました。
他にもっと自分が夢中になれるものに時間とお金を使ったほうがよいのではと思うことも・・・
かといって、「だったら、やめちゃえば?」と自問すると、なぜか「NO」が返ってくる。
そして、ついに翌年の2020年1月、覚悟を決めました。
「あと1年は続ける。その間に自分の役割が見つけられないのなら、やめる。みんなと一緒にやれることをやって楽しもう」

小さな変化が
大きな現象を起こす
その勢いでオンラインコミュニティ「うっとりがみ透かし折り紙研究部」を走らせました。
仲間になってくれた読者さんたちには「1年やってみて、その後続けるかどうか決めます」と伝えて。
コミュニティ立ち上げのきっかけは読者さんたちでした。
「自分に戻れる夢中のひととき」が満たされてくると
「この喜びを誰かに教えてあげたい」
「私ももっと役に立ちたい」
という共有と共感の気持ちがあふれてくるということを5年間のお付き合いを通して教えてくれたのです。
そんな女性たちをヨコでつないだら、きっと楽しい!!
そんな気持ちでオンラインコミュニティ「うっとりがみ透かし折り紙研究部」をスタートしました。
ひとりではできないことでも、みんなと一緒にやっちゃおう、という部活のノリです。
たとえば、美術館の展覧会や折り図の制作。
クラサワさんとのコラボ。
自分の力を活かしながら、みんなで助け合うことで、たくさんの人を喜ばせることができるということを信じ、メンバーみんなで楽しみました。
どうなるかなんて、まったく分からないまま進んでいきました。
・・・モヤモヤが晴れる兆しをまったく感じない。
役割は見つかるでしょうか。
次回へ続く